既婚者好きになってしまった女子の話。恋愛結婚とは言うものの、パートナーとの恋愛が結婚にゴールするには離婚と再婚がともないます。また、不倫や浮気だと言われても仕方の無い恋愛事情ですから相談する相手もなくデートも隠れながらの日々でした。そんな私が彼と結婚するまでのの顛末。
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既婚者から家族の話を聞かされて嫉妬するのは好きな証拠?

連休中に過ごした彼氏との時間――。
社会人になってから、なかなか一緒にいる時間も取れなかったけど、一緒にいる時間が長ければ学生時代に毎日のように会っていた頃を思い出した感じで、思いの外、仲良く過ごせました。でも・・・彼氏と過ごした時間の中で、いつもいつも直哉さんのことがチラチラと私の心の中に浮かんだのは事実でした。彼氏とのデートなのに、既婚者の先輩が頭から離れないなんてどうかしてる自分。

不思議な気持で彼氏とデートした連休が明ければ、ズンとした強い嫉妬に駆られることになりました――彼氏と遊びに行った先でのお土産を手にして出社すると、久しぶりに会う直哉さんの姿。家族を連れて楽しい時間を過ごしたのでしょうか?真っ黒に日焼けをした顔を見ると、微笑ましいような悔しいような‥いえ、嫉妬心に駆られた?のが本音だったはずです。好きになった既婚者から家族や子供、そして奥さんの話を聞くことは、聞きたくないけれど聞きたい‥そんな複雑で説明のつかないような気持です。嫉妬心に対して恋の闘争本能がうなるような?とにかく自分でもよくわからない気持ちなのです。

「あれマナミちゃんも旅行に行ったんだ?楽しかった?」と、直哉さんがニコニコ笑顔でお土産を配る私に話しかけます。私も「ええ‥楽しかったです。先輩もどこか行ったんですか?」すると「近場だよー。テーマパークにね!」笑って答えてくれる直哉さんでしたが、奥さんやお子さんと遊びに行ったりしているんだ、当たり前だけど……なんか許せないような悲しいような、無意味な嫉妬心がわき上がってきました。私には直哉さんが家族とどんな休日を過ごそうが、家族をどれほど愛していようが、口出しする権利なんてどこにもありません。ヤキモチを焼くことそのものが間違っているのに‥。

そんな話をしていると、直哉さんの同期社員が横から口を挟むのです。
「へー、ユメちゃん、いくつになったの?」
「うん、今6か月かな。いちばん手がかかるころだなあ」

そうなんだ……それは少しのヤキモチとかではなく、正真正銘の強い嫉妬心に駆られながら、恋してしまったであろう既婚者の家族の面々を思い浮かべては黙想にふけっていました。
直哉さんには、女のお子さんがいて、ユメちゃんって言うんだ。きっと直哉さんに似ていればかわいいだろうなぁと思って話を聞いてました。ユメちゃんの話をしているときは、やっぱりパパの顔になっているような気がしました。
さっきからわき起こるこの気持‥いったいなんだろう?私は誰に対して何に対して憤っているの?既婚者を好きになってしまった私にとって、相手の家族の話を聞かされることはとても落ち着かない心情だったのです。

この気持‥嫉妬心? 認めたくはないけれど間違いなく私、既婚者である直哉さんの家族に嫉妬している…。自分だって彼氏と過ごしていたくせに、家族と過ごした直哉さんに対して腹を立ててるような理不尽な気持ちに駆られる自分がイヤだし、でもわき上がってくる複雑な気持ちはごまかせない。

このときの私が、いったいどんな顔をしていたんだろうと思うと絶対に見たくないほどイヤな女の顔をしていたかもしれません。なんだかドロドロした恋愛事情がはじまる予感と
恋心にグラグラ揺れている私でした。
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