既婚者好きになってしまった女子の話。恋愛結婚とは言うものの、パートナーとの恋愛が結婚にゴールするには離婚と再婚がともないます。また、不倫や浮気だと言われても仕方の無い恋愛事情ですから相談する相手もなくデートも隠れながらの日々でした。そんな私が彼と結婚するまでのの顛末。
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既婚者との恋愛は終わりを告げ再びはじまる

既婚者である直哉さんに告白してから形としての〝恋〟は実った。

直哉さんも私のことを部下ではなく一人の女性として意識してくれていたことは、この上ない幸せでした。
その後――
私と直哉さんとの交際はスタート。
既婚者で上司である男性と、未婚者で部下である私が恋愛関係であることは世間一般的には認められたものじゃないことは理解できましたが、恋愛って、体裁とか世間体を気にしないから恋愛っていうのですね。

既婚者だから、妻子ある男性だから、そんな私にとっての向かい風は気にもならない若さってすごいエネルギーだと思いました。


でもね……
恋愛は結婚とか愛とか絆とか、やがてキレるべき糸でもあるのですね。別れ話が持ち上がるのは時間の問題でした。パッと燃え上がってシュンと火が消えるような、線香花火のように私たちの関係は収束を迎えたのでした。

気付けば既婚者を好きになっていた私は、恋愛感情に流されるままに交際が始まったものの、別れも早かった。当たり前だけど、既婚者との恋愛事情はそういうものなんでしょうね・・・・・・。

直哉さんに別れを告げてから、毎日気持ちを振りきるためにどうにか仕事の時はそれしか考えなくしたり、部屋で一人の時も、今まで読まなかったような難しい本を読んだりして、とにかく時間が過ぎることだけを祈る日々でした。

その年のクリスマスも、 年末年始も友達の集まりにちょっと顔を出すだけで、おとなしくしていました。友達には、元気がない私を心配する声もあったそうですが、大失恋をしたと仲間のひとりにちょっと言ってみたら、みんなに広まって、早く元気になってねって言うメールがたくさん入りました。

無理に外へ連れ出そうとする仲間はいなかったので、よかったです。そんな気持ちになれなかったので、誘われたら断るのが大変そうだったから。

既婚者との恋愛にピリオドは打たれた・・・と思っていた私でしたが、ある日の出来事がきっかけで二人の関係は再び始まることになります。

いえ、むしろ本当の略奪愛はここから始まったのです。


1月も終わりに近づいたある日の夜、しばらく全然連絡がなかった直哉さんからの電話が入りました。出ようか出るのをやめようか、悩んだのですが、ずいぶん長いこと着信音が流れたので、思わず取ってしまいました。

直哉さんの声が聞こえます。
「家を出てきた。今、マナミの家のそばにいるよ。出てきてくれないか?お願いだ」
私は、いつもと声の感じがちょっと違い、家を出たなんてびっくりするような事を言われたので、あわてて手元にある上着を羽織って、出て行きました。

いつも私を送りとどける時に、車を停めていたところに直哉さんの車がハザードをつけて停まっていました。

ハンドルに手をかけて下を向いていたので最初はわからなかったのですが、助手席に乗りこんで直哉さんの顔を見たら、右の眼の横というかこめかみと目の間のあたりが切れていて、かなり血が出ていました。

あわてて、遅くまでやっているドラッグストアに飛び込み、消毒薬やガーゼとかを買って、傷の手当てをしました。

どうしたの?こんな傷!!と私が言うと、直哉さんは、年末からずっと奥さんは子どもさんと自分の実家に行っていて、珍しく奥さん1人だけ戻ってきたので、これからのことをちゃんと話そうとしたら、奥さんがどんどん興奮してきて、お嬢様育ちの奥さんからは信じられないような汚い言葉を発しながら、手当たりしだいに物を投げてきて、直哉さんはやり返すことは絶対にしちゃいけないと、なんとか避けていたのですが、とうとう写真立てが飛んできた時によけきれずに当たったそうです。

その写真立ては、金属でできていて、きれいな飾りがついているものだったそうですが、その飾りがあだになったみたいで、なんか刺さったみたいと言いました。

血が流れている直哉さんを見て、奥さんは傷の手当てをするどころか、その姿を見て鼻で笑ったそうです。その瞬間、もうこの女とはこれ以上一緒にいられないと、当面の洋服や荷物をつめて車に乗って、家を出たのだそうです。

家を出る支度をしているとき、奥さんは止めなかったの?と言ったら、たぶんすぐ帰ってくると思っているか、俺がそんなことできる男だと思っていないのか、何も言わなかったと答えました。

とにかく、こんなことがあったことをマナミに話したかっただけ。と言いましたが、いくら夫婦喧嘩とはいえ、物を投げてケガをさせるのはちょっと無いんじゃないかな?と思いました。

その日は、直哉さんの話をただ聞くだけで別れました。直哉さんはしばらく実家に戻り、生活すると言い残したのです。

本当の意味で、いえ、略奪愛と言いましょうか…既婚者との恋愛事情はこの日から始まることになりました。
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