離婚が成立したことで、既婚者である直哉さんと私の結婚が同時に成立しました。
晴れて…これで私の後妻人生が始まります。好きになった人が既婚者だった。
じゃあ、好きでいることにピリオドを打てばそこで終わり。むしろ終わりであったほうが互いに複雑な人生とはならなかったように思います。
若いんだから何も既婚者を相手に…他にいい人いっくらでも見つかるし…既婚者を離婚させてまで後妻になろうとする悪女…
思えばいろんな人から意見が出ました。考えてみれば、私と直哉さんの行動は周囲の人々に良い印象を持たれるような要素はこれっぽっちもありませんね…。
そうは言っても、離婚が成立しただけでまだ直哉さんは奥様との暮らしが続いています。
結婚生活最後の家族旅行から帰宅した直哉さんは、これで前妻との結婚生活に踏ん切りがついたのか、離婚と再婚の同時進行について積極的に自分の両親への説得をするようになりました。
当事者同士の離婚成立の結論が出ない頃は、離婚について聞く耳を持たなかったお母様でしたが、離婚したからと言ってかわいい孫娘と会えなくなることはないと伝えたところ、離婚のことはしょうがないと言うか、あきらめたと言うか。
そもそも、お母様は直哉さんの離婚には大反対されていましたから…
いろいろと不仲はあっても角を立てずにそのままでいて欲しいという意見でした。
けれども、ここまで私たちが説得しても気持ちが変わらないのなら、もうこの子たちの好きにさせるしかないのかも…離婚しても孫の顔を見れるならもうそれで納得することにしようと思ったのでしょうか。
ところで、後妻となる私に対してはもちろん良い感情は持っていないのは承知のうえなのですが、離婚が成立したということにより私と会ってくれることになりました。
直哉さんは再婚後の住居を実家として後妻となる私も同居する暮らしを想定していましたから、お母様が私にどんな感情を持とうともこれから同居して義母となるわけですから、そこは私が努力して気に入られるように頑張らなければなりません。
離婚届を役所に提出したという一報を受け取ったときは、素直に嬉しいのひと言でした。もうこれで、隠れるように待ち合わせをしたり、一緒に会っているとき楽しいのにどこかやましい気持を抱いていたり、直哉さんが時計をちょっとでも見るそぶりをしたりするだけで、苦しくなったり。そんなことからすべて解放されるんだもの。
どこへ二人で行っても、誰と会おうと、誰にも何にも文句は言わせない。
やっとやっと私の腕の中にいとしい直哉さんのすべてが飛び込んできたのです。
もう彼を絶対に放しません。