でももう…誰の目に触れようが胸を張って「好きな人はこの人です」と言える私です。
既婚者に恋した私の恋愛事情はここで大きく転換します。
――直哉さんの離婚が成立してから初めて、二人で会いました。
いままで、二人で会うときは人目のつかない店で会うしかありませんでしたがもうそんな心配は不要です。
朝でも昼でも正々堂々と直哉さんと腕を組んで歩くことも、人気のお店に入ってお茶をのむことも許されます。
好きな人と堂々と居られる幸せは、既婚者と恋愛していた私にはこの上ない幸せでした。
さてお店の中では、すぐにスマホのアドレス帳を編集してもらいました。
それというのも、今まで、直哉さんは私のアドレスを男性名の偽名で登録していたのです。いまここで本名フルネームに編集してもらい、待ち受け画面も二人で撮った写真に変えてもらいました。
ちょっとはしゃぎすぎ?って感じだったけど、今までずっとコソコソ隠れながらの恋愛事情であった分、私と言う存在を誰か他の人にもアピールしたいのです。
その日、直哉さんとはこんな話になりました………離婚が成立したということで、直哉さんのご両親と会う日について。
前妻さんと会う時も緊張しましたが、やっぱり御両親と会うと言うのは特別なものですね。すぐに結婚できるとは思っていませんが、後妻となる今後のことも話し合うためには大切なステップだと思います。
私のことはあまりいい印象は持っていないとしても、素直に本当の私と言うのを見てもらうチャンスなのかもしれません。
それに私がどれだけ真剣かと言うことも。
反対をされたら既成事実を作って結婚しちゃえばいいと思った時期もありました。でも前妻さんとの約束を守るとすればそれはできないこと。
私と直哉さんの誠意を、互いの両親にどう伝えるか。悩むところでもあります。
でも、なぜか私たちの顔は笑ってました。うれしくてたまらなかったんです。
この頃になるとだんだん結婚をしたり結婚準備に入る友達もいて、もう旦那様になる男性のご両親に会ったことのある友達なんかにメールでどんな感じだったかとか服装はどうしたかとかをリサーチしたりしてみました。
みんな私がいつの間にか結婚を意識しているような男性がいたことに驚いていました。みんなまさか、おとなしい私が既婚者と恋愛を繰り広げたあげくに離婚までさせて後妻になる恋愛事情なんて想像もつかないのでしょう。