当初、行き詰まっていた私たちの結婚。
結婚後は彼の実家で同居嫁かつ後妻となる私を、直哉さんの両親に受け入れてもらうことは想像以上に困難なことでした。ところが、行き詰まった〝時間〟が、私とご両親の距離感を縮めてくれたとでも言いましょうか・・・、次第にご両親の気持ちは私たちの結婚を認めてくれるように変化していきました。もっとも、今回の再婚は誰からも祝福されるようないきさつでなかったことは事実でしょう。それだけに、ご両親の気持ちの変化はひとつの壁を乗り越えた気持ちでいっぱいです。
さあ、次は私のパパとママに既婚者で離婚したバツイチの彼との結婚を許してもらう段階まで来ました。
そんななか、今度は直哉さんを私の実家に連れてきて4人で話し合いをしました。「時間がかかりましたが、どうにかうちの両親もマナミさんとの結婚を許してくれましたので、改めて今日はマナミさんとの結婚を、ご両親にお許し願いたいのですが…」
そう切り出した直哉さん。
パパもママも私からある程度の直哉さんのご両親の態度を聞かされていたので、 いったいこれで許したと言えるのかと、困った顔を最初はしていましたが、パパとママに話しかける直哉さんの表情は真剣そのもの。
となりにくっつくようにして場の雰囲気をうかがう私は固唾をのんでパパとママの反応を待っていました。
――両親は、その必死さに動かされた感じです。
次第に態度が柔らかくなってきた両親。最終的には、 これからの自分たちを見ていてほしいという直哉さんの熱意に負けたって感じになりました。
直哉さんにパパは言いました。二人の結婚を許すかわりに、マナミのことを絶対に守り抜くと約束できるのかな?と。
すると直哉さんは、パパとママの目をまっすぐ見て「 約束します」と力強く言ってくれました。その一言は、今まで不安で揺れていたり、悩んでいた私の心をしっかりと掴んでくれました。そして、その一言を信じて私は、直哉さんとこれからを歩んで行こうと決意を新たにしたのでした。
話し合いが終わり、直哉さんが帰りました。
パパとママと3人になって、今日は本当にありがとう。と言うと、ママが きっとあのお義母さんと同居するってことは何もしなくていいとはいえ大変だと思うわ・・・。
マナミが思っている以上につらいこともあると思うけど、覚悟しなさいね。でもね、あれだけ直哉さんがあなたを大事にするって言う気持ちが強いのなら、少しは私たちも気持ちが楽になるけれど、実際に住んでみないとこういうことはわからないものだから…。
と、まだまだ心配そうに言いだしたので、私 はとにかく今はさっきの直哉さんの言葉を信じて頑張ろうと思っているから、見守ってほしい。と言うしかありませんでした。
自分の部屋に戻り、ベッドに横になりながら今後の結婚生活のことを思い浮かべます。お金はかけられなくても、素敵な部屋にするにはどうしたらいいかしら?元嫁さんとの結婚生活の思い出を可能な限り排除するにはどうすれば?
そんなことを考えつつ、結婚式のことを思い浮かべました。
盛大な結婚式はできなくても、身近な人や仲の良いお友達を少しだけ呼んで、こじんまりとしたパーティー形式でもいいな。
無理なら、親族だけの結婚式でもいい。ただ・・・・・・やっぱりウェディングドレスは着たいのです。
それに直哉さんは婚約指輪を考えなきゃと言っていたし、どんなリングを私に贈ってくれるのでしょうか?期待するなと言われても期待してしまいますし、いろいろ想像してしまいます。
もうすぐです。既婚者との恋に落ちて離婚までさせ自分と結婚する恋が実る日は・・・。
それはきっと、世間からは悪評をいただくに違いない不謹慎なストーリーです。けれど最も尊いのはやはり、結婚する者同士が後ろを振り向くことなく幸せな未来に向かって歩き始めることですよね・・・・・・。